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展示風景  
​アーティストインレジデンス「野良の滞在」成果発表展
"沈黙する地面、記憶する地層", A HAMLET(Kyoto),2025

亀岡市並河町での滞在制作で、「かつて亀岡は湖だった」という伝承を起点に、今はもう見ることはできない景色を巡るためのリサーチを行いました。

見ることも、触れることもできない。私にとって馴染みのない土地で、もちろん経験したこともない過去と対話することは果たして可能なのでしょうか。

この一つの問いを元に、絵画とサイアノタイプの作品を制作しました。

 

 絵画作品では、普段取り組んでいるモノタイプの技法を用い、「丹波湖開拓伝説」の要とも言える、保津峡の岩を描きました。

水や地殻変動、そして人の力(はたまた神の力)によって形を変えてきた保津峡の岩から、長い年月の変遷する力を観ることができないかと考えています。

 

 そして、インスタレーションとしての制作では、亀岡の地に残された絶滅植物の標本ーーそれは他者が観察し、記録として残した痕跡です。ーーその資料をもとにドローイングネガを制作し、サイアノタイプという写真の古典技法によって、アスファルトの裏側に焼きつけました。

 

本来大地はマントルの流動の上で今もゆっくりと動き続けています。これは亀岡の地形と「丹波湖」の伝承からも読み取れるように、亀岡市の現在は人の住まう大地ですが、遥か昔は亀岡盆地が巨大な湖であったと伝えられており、この地もゆっくりと動き形を変えてきたことが分かります。

現在の亀岡の地質に粘土質の土が多く存在するのも、丹波湖の名残りかもしれないと言われているように、この壮大な変化は遥か昔の湖だった頃から現在に至るまで地続きに続いてきた動きの途中に過ぎない。

しかし、都市生活においては、このように絶えず動いている様子を見せる地面はほとんど見られません。むしろ、アスファルトによって大部分が覆われ、その動きや気配は封じ込められているように感じています。地続きの過去とコミュニケーションをとるためにはまず、「沈黙している」ように見えるアスファルトの、その下にある土地の記憶に耳を傾けることが必要なのではないかと思います。

©misa_shinshi

 
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